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蕩けるようなキスをして
第53章 留以
いつかの時。
拳を白くなるまで握っていたのは-憶測でしかないけれど、きっとあの指輪を握り締めていたのではないか。
かつて贈られた指輪と共に。
贈ってくれた相手と共に。
擦れ違った廊下を。
教室を。
食堂を。
心に思い出して、一緒に、過ごしていたのではないか-…。
「なんでだよ。どうして同じ大学に通っていながら、そんな誰にも秘密のような付き合いなんて?なんでそんな事する必要があったんだよ?そんなの、本当に付き合ってたって言えるのかよ?そんなの、本当に好きって言えるのかよ。なんだよ、それ。そんな奴よりよっぽど-」
-余程、俺の方が。
俺の方が、愛してる。
こんなに想ってる。
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