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蕩けるようなキスをして
第52章 行けない
心の中。
罵声を浴びせるのに、精一杯だった。
情けない自分に、いつもの溜め息。
嗤ってしまう。
昨日とほぼ同時刻の早朝。
昨日と同じカフェテリアの座席-違うのは、目の前に彼女が座っていない事。
窓の外を見れば、昨日以上に降り注いだ雪により、銀世界が広がっている。
この分だときっと、明後日のクリスマス・イヴも、雪になるかもしれない。
明後日の約束-彼女は覚えていてくれてるのかな。
明後日は-彼女に逢えるのかな。
頬杖をつき、ぼんやりと外を眺めてた陸のすぐ側に、ひとの立つ気配がした。
昨日の朝以来、顔を合わす事なく。
連絡先を交換してから初めて一日、ラインも電話もしなかった。
当然のように、向こうからの連絡もなかった。
-本当は、待っていた。
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