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蕩けるようなキスをして
第50章 吹雪
なんの前触れもなく。
なんの断りもなく。
触れてしまった自分が悪かったのだと。
彼女の話に合わせて謝れば、なんでもなくなるのならば。
そうじゃない-例え、そう思っていたとしても。
演じる事など、簡単だった。
ふたりして演技を続けていればいいのならば、いつまでだって。
彼女の言う通り。
例え突然、握ったとしても。
振り払われるんじゃないかと思うくらい、驚かれた事など、今まで一度もなかった。
一度だって、なかった。
なかったけれど-今回は、初めて怖がらせてしまった。
悪い事を、してしまった。
最大級の勇気で、陸は華夜子の左手を、強く握った。
垣間見た彼女の顔は一瞬、強張った。
なんの断りもなく。
触れてしまった自分が悪かったのだと。
彼女の話に合わせて謝れば、なんでもなくなるのならば。
そうじゃない-例え、そう思っていたとしても。
演じる事など、簡単だった。
ふたりして演技を続けていればいいのならば、いつまでだって。
彼女の言う通り。
例え突然、握ったとしても。
振り払われるんじゃないかと思うくらい、驚かれた事など、今まで一度もなかった。
一度だって、なかった。
なかったけれど-今回は、初めて怖がらせてしまった。
悪い事を、してしまった。
最大級の勇気で、陸は華夜子の左手を、強く握った。
垣間見た彼女の顔は一瞬、強張った。

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