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蕩けるようなキスをして
第49章 予感
今日は、ちょっと焦がしちゃって-言い訳しつつ。
いつもよりもほんの少しだけ、黒くなってしまった卵焼き。
それを自分に照れながら、差し出してくる彼女が-可愛かった。
開けた口に、箸で運んでくれる-当たり前のように。
それがもう、自然で、普通だった。
普通でいい。
普通が一番いい。
こんな日常が、ずっと、欲しかった。
幸せを噛み締めるように、味わって食べる。
「すげー美味いよ、華夜」
陸の微笑みを受け、華夜子もまた、笑う。
そんなふたりを目の当たりにしたのは、初めてではなかった。
なんだかんだ言って、人目も憚らず、いちゃついてると思うんだけど-乃愛は隣りで呆れるが、とりあえずこの場は見て見ぬ振りをする。
こんなふたりを見てると、気にし過ぎだったかなと思う。
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