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蕩けるようなキスをして
第2章 櫻葉陸
彼は再度妖しげな笑みを重ね、彼女に囁いた。
「昨日は驚かせてごめんね、カーヤ」
そこでようやく、華夜子は彼から力づくでペットボトルを取り上げた。
「こえーなあ」
落栗色の前髪を掻き上げ、陸は苦笑した。
そんな彼を一瞥した後(のち)、華夜子は鞄の中にお茶を押し込み、陸の横をすり抜け、今来た廊下の方へと向かう。
「待ってよ、おねーさん」
付き従うようについて来る陸が、うざったい。
しかし、ここで相手をすれば余計に鬱陶しい事になりそうで、無視を決め込み、歩くスピードを増す。
「おねーさんってば」
けれど、脚の長い彼にとっては造作ないらしく、余裕すら感じられる口調で背後から、呼ばれる。
「待ってよ、カーヤ」
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