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第14章 父の帰国～ベクトルが向かう先～

「ゆーと？」
「俺は愛良が居てくれるなら結婚相手も何にもいらないよ。」

そういうとチャイルドシートから降りて首元に近寄る愛良。シートベルトをはずして体の向きを変えそっと引き寄せると黒野は唇を重ねた。

「ﾝ…ﾁｭ……」
「ゆーと…」
「ん？何？」
「…好き」
「知ってますよ。」

そう答えるとクスリと笑い合った。そうしながらも車を降りて屋敷に戻っていく。

「ただいまぁ！」
「ただいま戻りました。」
「お帰りなさいませ」

そうしてリビングにケーキを置きに行った。嬉しそうにケーキの箱を見つめながら鼻歌を歌い、お皿を並べたりと手伝いを始めた愛良。