この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第28章 第十一話 【螢ヶ原】 其の四

腹の子が八月(やつき)になった頃から、お彩は再び悪阻(つわり)に悩まされるようになった。以前、奉公していた「花がすみ」の一人娘小巻が身重の頃の一部始終を見ているだけに、小巻も確か大きなお腹になっても悪阻に苦しんで殆ど何も食べられない状態だったことは憶えている。
が、お彩は、これが悪阻だと思い込んでいるが、実際は、大きくなった子宮、つまりお腹が胃の腑を圧迫して食欲が失せるわけで、妊娠初期の悪阻とは全く違う。
それはともかく、妊婦にとっては吐き気に悩み、食事に手が付けられない―といった症状は、悪阻としか言いようがなく、お彩はもうかれこれ、ひと月ほどの間、これに悩まされっ放しであった。そのため、いっときは戻っていた体重が減り、お彩はまた、痩せた。
が、お彩は、これが悪阻だと思い込んでいるが、実際は、大きくなった子宮、つまりお腹が胃の腑を圧迫して食欲が失せるわけで、妊娠初期の悪阻とは全く違う。
それはともかく、妊婦にとっては吐き気に悩み、食事に手が付けられない―といった症状は、悪阻としか言いようがなく、お彩はもうかれこれ、ひと月ほどの間、これに悩まされっ放しであった。そのため、いっときは戻っていた体重が減り、お彩はまた、痩せた。

