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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第27章 第十一話 【螢ヶ原】 其の参

―あっ。
お彩の声をめざとく聞き止めた伊勢次が屏風越しに身を起こす気配が伝わってきた。
―どうした、具合でも悪ィのか?
気遣わしげに問う伊勢次に、お彩は笑いを含んだ声で応えた。
―動いたのよ、今。
―え、動いた? 動いたって、何が?
間の抜けた伊勢次の反応に、お彩は笑いながら続けた。
―赤ちゃんが動いたの。
それには、伊勢次も大いに愕いたようで、互いに薄い寝間着姿であることも忘れ果て、屏風を越えてお彩の傍に来た。
―動くって、腹の中にいる赤ン坊が動くってえいうのかい?
お彩の声をめざとく聞き止めた伊勢次が屏風越しに身を起こす気配が伝わってきた。
―どうした、具合でも悪ィのか?
気遣わしげに問う伊勢次に、お彩は笑いを含んだ声で応えた。
―動いたのよ、今。
―え、動いた? 動いたって、何が?
間の抜けた伊勢次の反応に、お彩は笑いながら続けた。
―赤ちゃんが動いたの。
それには、伊勢次も大いに愕いたようで、互いに薄い寝間着姿であることも忘れ果て、屏風を越えてお彩の傍に来た。
―動くって、腹の中にいる赤ン坊が動くってえいうのかい?

