この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第26章 第十一話 【螢ヶ原】 其の弐

伊勢次当人は幼時既に心ない幼友達から自分がおきわの子ではないと知らされていたが、おきわの方はその事実を知らない。伊勢次がおきわを母親であると信じていると、いまだに疑っていないのだ。お彩が亡くなった父伊八の実の娘ではないと知り、深く傷つき悩んでいた折も折、伊勢次は誰にも明かしたことはないというこの秘密をお彩にだけは語った。
―俺は血の繋がりよりも、俺とお袋が親子として積み重ねてきた日々の方を大切にしてえんだ。
そう言い切った伊勢次は、血の繋がりよりも大切なものがお彩と育ての父伊八の間にあるということを訴えたかったのだろう。
―俺は血の繋がりよりも、俺とお袋が親子として積み重ねてきた日々の方を大切にしてえんだ。
そう言い切った伊勢次は、血の繋がりよりも大切なものがお彩と育ての父伊八の間にあるということを訴えたかったのだろう。

