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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第26章 第十一話 【螢ヶ原】 其の弐

【其の弐】
翌日から、伊勢次と二人の暮らしが始まった。伊勢次の住まう長屋に駆け込んだ翌朝早々、お彩は、伊勢次の母親がいないことに気付いた。
確か、伊勢次は病身の母と二人だけの暮らしであったはずだ。伊勢次の父徳松も腕の良い左官であったが、母おきわはその後妻であるという。おきわは出戻りの身で、嫁ぎ先で良人も子も失い、里に帰されてきたのである。
その頃、伊勢次の父もまた、生後まもない乳飲み子を抱えて女房に先立たれて困っていた。間に立つ人があり、徳松はおきわを後添えに迎え、伊勢次は、おきわに育てられた。
翌日から、伊勢次と二人の暮らしが始まった。伊勢次の住まう長屋に駆け込んだ翌朝早々、お彩は、伊勢次の母親がいないことに気付いた。
確か、伊勢次は病身の母と二人だけの暮らしであったはずだ。伊勢次の父徳松も腕の良い左官であったが、母おきわはその後妻であるという。おきわは出戻りの身で、嫁ぎ先で良人も子も失い、里に帰されてきたのである。
その頃、伊勢次の父もまた、生後まもない乳飲み子を抱えて女房に先立たれて困っていた。間に立つ人があり、徳松はおきわを後添えに迎え、伊勢次は、おきわに育てられた。

