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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

伊八の顔が先刻までより赤みを増した。熱が上がったのだろう。お彩はもう一度、手拭いを水に浸して絞り直した。
父の上気した顔を手拭いでそっと拭いていると、長い睫がかすかに震えた。
「おとっつぁん、おとっつぁん?」
呼びかけると、うっすらと眼が開いた。
お彩は更に大きな声で父を呼んだ。
「おとっつぁん、私よ。お彩よ。お願い、眼を開けて私を見て」
「―お彩」
お彩は涙ながらに父を見つめた。うんうんと何度も頷いて見せる。
「良かった、気が付いたのね。もう大丈夫よ。おとっつぁん」
伊八の眼も濡れていた。父が泣いている―、お彩は、はっと胸を衝かれた。
父の上気した顔を手拭いでそっと拭いていると、長い睫がかすかに震えた。
「おとっつぁん、おとっつぁん?」
呼びかけると、うっすらと眼が開いた。
お彩は更に大きな声で父を呼んだ。
「おとっつぁん、私よ。お彩よ。お願い、眼を開けて私を見て」
「―お彩」
お彩は涙ながらに父を見つめた。うんうんと何度も頷いて見せる。
「良かった、気が付いたのね。もう大丈夫よ。おとっつぁん」
伊八の眼も濡れていた。父が泣いている―、お彩は、はっと胸を衝かれた。

