この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

「ですから、判ったようなことを申しましても、本当は子を持った親御さんの気持ちは判りっこないんです」
女主人は殊更卑下する様子もなく、にこやかに笑んでいた。
「十九におなりのお嬢さんでしたら、こんなお着物はいかがでしょうか」
女主人が勧めてくれたのは、薄桃色の地の着物と濃い紺の着物の二つだった。薄桃色の地の着物は裾につがいの鳥が飛び、小さく梅の花があしらってある。いかにも新春にふさわしい晴れやかな図柄だ。今一つは紺色の地に竹矢来の図柄が全体的に配されている。
伊八は少し迷った末、薄桃色の着物を選んだ。肌理も細かく色白なお彩には明るめの色の方が似合うだろうし、正月らしい雰囲気の図案も気に入ったからだ。
女主人は殊更卑下する様子もなく、にこやかに笑んでいた。
「十九におなりのお嬢さんでしたら、こんなお着物はいかがでしょうか」
女主人が勧めてくれたのは、薄桃色の地の着物と濃い紺の着物の二つだった。薄桃色の地の着物は裾につがいの鳥が飛び、小さく梅の花があしらってある。いかにも新春にふさわしい晴れやかな図柄だ。今一つは紺色の地に竹矢来の図柄が全体的に配されている。
伊八は少し迷った末、薄桃色の着物を選んだ。肌理も細かく色白なお彩には明るめの色の方が似合うだろうし、正月らしい雰囲気の図案も気に入ったからだ。

