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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第21章 第九話 【夫婦鳥~めおとどり~】 其の壱

そうやって、ずるずると日々を重ねる中につい話をする機会を逸してしまったことは否めない。一度は「花がすみ」の方に自分から赴いて、喜六郎にその後のお彩の様子などを訊ねるべきだろうとは思うのに、いざとなると、脚がすくんでしまう。
こんな有り様では、あの世の蓮のうてなにいるお絹に顔向けもできない。伊八は、わが身がつくづく甲斐性のない男だと落ち込んでいた。
「偉そうなことを言っちまいましたが、私には子どもはいないんですよ」
女主人の言葉が耳を打ち、伊八は現実に引き戻された。
「そう、でしたか」
伊八は改めて艶やかな花のような笑顔を見つめた。
こんな有り様では、あの世の蓮のうてなにいるお絹に顔向けもできない。伊八は、わが身がつくづく甲斐性のない男だと落ち込んでいた。
「偉そうなことを言っちまいましたが、私には子どもはいないんですよ」
女主人の言葉が耳を打ち、伊八は現実に引き戻された。
「そう、でしたか」
伊八は改めて艶やかな花のような笑顔を見つめた。

