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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第1章 第一話―其の壱―

初め、お彩はこの気持ちが絶対に恋ではないと思った。いや、恋だとは認めたくなかったのだ。自分の父親に惚れただなんて、あまりにも惨めすぎる。それも、母が亡くなってからわずか数日で、その気持ちを意識するなんて、自分はどこまで淫らで親不孝な娘なのだろう。お彩は懸命に自分の気持ちを否定しようとしたけれど、逆に否定しようとすればするほど、父の存在を意識することになった。
向かい合って飯を食べるときの、父の喉の動きや、簪を細工しているときの普段とは違う気迫のこもった横顔、どれもを「男」として意識してしまい、平静ではいられなくなってしまうのだ。胸が高鳴り、身体が微熱を帯びたように熱くなる。そうなると、もう父と同じ狭い家の中にいるのは耐えられなかった。
向かい合って飯を食べるときの、父の喉の動きや、簪を細工しているときの普段とは違う気迫のこもった横顔、どれもを「男」として意識してしまい、平静ではいられなくなってしまうのだ。胸が高鳴り、身体が微熱を帯びたように熱くなる。そうなると、もう父と同じ狭い家の中にいるのは耐えられなかった。

