この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参

その時、お佐歩は初めて、市兵衛を殺めようと磯五郎がすべてを仕組んだことを知った。あの夜、手代頭の泰助が見た走り去る黒い人影は他ならぬ磯五郎のものだったのだ。磯五郎は市兵衛が寄り合いの帰りにあの場所を通ることまですべて承知で、あらかじめ材木の影に潜んで待ち伏せた。たとえ、寄り合いの後、どこに立ち寄ったとしても、道筋として市兵衛が京屋に戻るには材木町を必ず通ることは判っていた。
磯五郎は、通りかかった市兵衛主従に向かって、材木が倒れるように仕向けたのだ。果たして翌朝、お佐歩は市兵衛が昨夜、事故に遭い、一命は取り留めたものの意識不明だと聞き、大変な騒ぎになっているのを知った。
磯五郎は、通りかかった市兵衛主従に向かって、材木が倒れるように仕向けたのだ。果たして翌朝、お佐歩は市兵衛が昨夜、事故に遭い、一命は取り留めたものの意識不明だと聞き、大変な騒ぎになっているのを知った。

