この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参

「あの怖ろしい事故が起こった夜、磯五郎もまた遅くまでどこかに出かけていたようでした。たまたま、私は父に言いつけられて店の戸締まりを確かめに参りました。入ったばかりの丁稚はまだ不慣れで、時折鍵をかけ忘れていることがありますもので―、番頭も確認を時々怠ってしまいます。今時分は物騒で物盗りにでも入られたら厄介だと、父は煩いくらいに申します。それで、私が行ったのですが、その折、丁度帰ってきたばかりの磯五郎と出くわしました。到底尋常ではない様子でした。不審に思い問いつめたところ、大変なことをしたと震えながら申すのです」

