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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参

お佐歩は大工の弥助という男と恋仲であった。二人が知り合ったのは、弥助が武蔵屋の隠居所、つまり、お佐歩には祖母に当たるお嘉代の住まいを改築したときであった。お嘉代とお知歩の嫁姑は昔から折り合いが思わしくなく、お嘉代は早くから母屋を出て、離れを建て、そこで暮らしていた。
お佐歩は幼時から我が儘で気の強い母よりも、優しくて思慮深い祖母の方に懐いていた。その祖母の離れが少々手狭なので、三年前に少し広くすることになり、弥助の親方である棟梁に工事を依頼したのが始まりであった。その時、弥助も棟梁と共に武蔵屋に仕事に来ていたのである。当時、お佐歩は十六、弥助は二十一であった。
お佐歩は幼時から我が儘で気の強い母よりも、優しくて思慮深い祖母の方に懐いていた。その祖母の離れが少々手狭なので、三年前に少し広くすることになり、弥助の親方である棟梁に工事を依頼したのが始まりであった。その時、弥助も棟梁と共に武蔵屋に仕事に来ていたのである。当時、お佐歩は十六、弥助は二十一であった。

