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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参

どうやら、お美杷は手鞠を追いかけてきたらしい。眼にも彩な糸でかがられた鞠がころころとお彩の足許近くに転がってきて、止まった。お彩は裸足のままであるのも厭わず、庭に降りて鞠を拾った。
「はい、どうぞ」
笑顔で鞠を差し出すと、傍まで来たお美杷は怯えたように後ずさる。後ろから付いてきた乳母に抱きつき、お彩を怯えた眼で警戒するように見上げた。まるで、見知らぬ赤の他人を見るようなまなざしであった。知らぬ者が見れば、おしほとお美杷が母子で、お彩は何のゆかりもない他人だと思うだろう。
お彩は、お美杷の他人を見るような視線に、まるでしなやかな鞭で打たれたような想いがした。
「はい、どうぞ」
笑顔で鞠を差し出すと、傍まで来たお美杷は怯えたように後ずさる。後ろから付いてきた乳母に抱きつき、お彩を怯えた眼で警戒するように見上げた。まるで、見知らぬ赤の他人を見るようなまなざしであった。知らぬ者が見れば、おしほとお美杷が母子で、お彩は何のゆかりもない他人だと思うだろう。
お彩は、お美杷の他人を見るような視線に、まるでしなやかな鞭で打たれたような想いがした。

