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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第45章 第十六話 【睡蓮】 参

いかにも大店のお嬢さまらしい華やいだ装いに包まれたお美杷は、すっかり大きくなっていた。身の丈もぐんと伸び、まだ一人歩きできなかったのが、見違えるように達者に歩き、走る。しばらく見ない間に、見違えるような成長ぶりだ。
―お美杷ッ。
お彩は思わず名を呼んで駆け寄りたい衝動に駆られたが、それは叶わぬことである。
親子の名乗りはしないと決めていたことだ。
ほどなく、お美杷を追いかけて、一人の女が現れた。去年の秋、泰助と共に「花がすみ」までお美杷を迎えにきた女である。確かお美杷の乳母でおしほとかいったか。大人しやかで感じの良い女だという印象があった。
―お美杷ッ。
お彩は思わず名を呼んで駆け寄りたい衝動に駆られたが、それは叶わぬことである。
親子の名乗りはしないと決めていたことだ。
ほどなく、お美杷を追いかけて、一人の女が現れた。去年の秋、泰助と共に「花がすみ」までお美杷を迎えにきた女である。確かお美杷の乳母でおしほとかいったか。大人しやかで感じの良い女だという印象があった。

