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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第44章 第十六話 【睡蓮】 弐

そこで、眼が覚めた。お彩は不思議な夢のことを考えた。夢の中で見た子どもは間違いなく陽太―かつて子どもだった市兵衛の姿であった。
何故、あんな夢を見たのだろうか。夢の中の陽太―市兵衛は泣いていた。死にたくないと、生きていたいのだと。
お彩はその朝、いつもより早めに床から出て、身支度をした。あのような夢を見た後、結局眠れなかったこともあったけれど、どうしても喜六郎に伝えたいことがあったからだ。いつもの朝より半刻は早く長屋を出て「花がすみ」に出向いた。
朝の早い喜六郎は既に起きていて、板場で仕込みに入っていた。お彩は控え目に話があるのだと告げた。
何故、あんな夢を見たのだろうか。夢の中の陽太―市兵衛は泣いていた。死にたくないと、生きていたいのだと。
お彩はその朝、いつもより早めに床から出て、身支度をした。あのような夢を見た後、結局眠れなかったこともあったけれど、どうしても喜六郎に伝えたいことがあったからだ。いつもの朝より半刻は早く長屋を出て「花がすみ」に出向いた。
朝の早い喜六郎は既に起きていて、板場で仕込みに入っていた。お彩は控え目に話があるのだと告げた。

