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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第44章 第十六話 【睡蓮】 弐

そのことを、お彩は何より我が事のように嬉しく誇らしく思わずにはおられなかった。
だが、二歳の幼児に大店の主人は務まるはずもなし、第一、市兵衛の子は女だ。では、その幼い娘が成人するまでの間、誰が代わりに大店を切り盛りしてゆくかということなのだが、これについてもまた、揉めに揉めており、京屋の内々は今、次の主の座をめぐり、お家騒動の様相を呈していると専らの噂だ。
お彩は、そのあまりの無情さが哀しかった。
―あの人はまだ生きているのに、あんまりだ。
その想いは刻が経つにつれて、大きくなった。
だが、二歳の幼児に大店の主人は務まるはずもなし、第一、市兵衛の子は女だ。では、その幼い娘が成人するまでの間、誰が代わりに大店を切り盛りしてゆくかということなのだが、これについてもまた、揉めに揉めており、京屋の内々は今、次の主の座をめぐり、お家騒動の様相を呈していると専らの噂だ。
お彩は、そのあまりの無情さが哀しかった。
―あの人はまだ生きているのに、あんまりだ。
その想いは刻が経つにつれて、大きくなった。

