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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四

更にその三日後。
お彩が、ついに吉原遊廓を出る日が来た。
夕闇の帳が降りる時刻、お彩は大門前に停まった駕籠に乗った。その駕籠は、お彩を身請けする京屋市兵衛から遣わされたものである。駕籠の中の人となる間際、お彩を見送りにきた花里がそっと抱きしめた。
「今度こそ、幸せにね。山吹さんが庇ってくれたことを私、一生忘れないから」
お彩も涙をこらえて花里に囁いた。
「花里さんも元気でね。無事年季が明けて惚れたお人と一日も早く一緒になれるように祈ってるから、そのときがくるまで身体を大切にしてね」
その言葉に、花里がほんの一瞬、ハッとした表情になった。
お彩が、ついに吉原遊廓を出る日が来た。
夕闇の帳が降りる時刻、お彩は大門前に停まった駕籠に乗った。その駕籠は、お彩を身請けする京屋市兵衛から遣わされたものである。駕籠の中の人となる間際、お彩を見送りにきた花里がそっと抱きしめた。
「今度こそ、幸せにね。山吹さんが庇ってくれたことを私、一生忘れないから」
お彩も涙をこらえて花里に囁いた。
「花里さんも元気でね。無事年季が明けて惚れたお人と一日も早く一緒になれるように祈ってるから、そのときがくるまで身体を大切にしてね」
その言葉に、花里がほんの一瞬、ハッとした表情になった。

