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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第42章 第十五話 【静かなる月】 其の四

浅助が笑み崩れた顔で相槌を打った。
「おお、そうとも。あの吉原でも一、二と言われた伝説の名妓咲花太夫に生き写しさ。この妓を見た時、私は、まず真っ先にあの咲花のことを思い出した。ただ美しいだけの女なら吉原には、掃いて捨てるほどもいるが、その中でお職を張る花魁にまで昇りつめることができるのは、ほんのひと握りだからねえ。この妓は磨けば必ず光り輝く玉になると踏んだんだよ。私もだてに亡八と呼ばれて女郎屋の主を三十年も務めてきたわけじゃないからねえ。この妓の眼の澄んだことといやア、まるで見ているこちとらまで、引き込まれてしめえそうだ。
「おお、そうとも。あの吉原でも一、二と言われた伝説の名妓咲花太夫に生き写しさ。この妓を見た時、私は、まず真っ先にあの咲花のことを思い出した。ただ美しいだけの女なら吉原には、掃いて捨てるほどもいるが、その中でお職を張る花魁にまで昇りつめることができるのは、ほんのひと握りだからねえ。この妓は磨けば必ず光り輝く玉になると踏んだんだよ。私もだてに亡八と呼ばれて女郎屋の主を三十年も務めてきたわけじゃないからねえ。この妓の眼の澄んだことといやア、まるで見ているこちとらまで、引き込まれてしめえそうだ。

