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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐

紺色の暖簾が真昼の強い陽差しを浴びているのをじっと見ていると、道を通ってゆく人々が怪訝な顔で見る。居たたまれなくなって、その視線から逃れるように肥前屋の暖簾をかいくぐった。
「いらっしゃいませ」
愛想良く出迎えたのは、三十過ぎの、上背のある男であった。細い眼が冷たい印象を与えるが、男ぶりは悪くない。
しかし、愛想良く笑っているように見えても、眼だけは笑っていないのが不気味であった。
「何か、ご用で?」
こちらを窺うような視線の中に、お彩の全身をさっと値踏みするような不躾さが含まれていた。
「いらっしゃいませ」
愛想良く出迎えたのは、三十過ぎの、上背のある男であった。細い眼が冷たい印象を与えるが、男ぶりは悪くない。
しかし、愛想良く笑っているように見えても、眼だけは笑っていないのが不気味であった。
「何か、ご用で?」
こちらを窺うような視線の中に、お彩の全身をさっと値踏みするような不躾さが含まれていた。

