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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐

その翌日、昼刻を終え、「花がすみ」の店内は客の姿は見当たらなかった。喜六郎は今朝から、はや板場に戻っている。つい四半刻前に最後の二人連れの客を送り出してからというもの、店の内はしんと静まり返っている。
店がひと段落すると、お彩は喜六郎に二階で少し寝むようにと勧めた。喜六郎は日頃から健康だけには自信があっただけに、昨日のことは相当こたえているようだ。素直にお彩の勧めに従って、二階の自室へと上がった
お彩は喜六郎が自室に籠もったのを見届け、「花がすみ」を出た。
両替町にあるという「肥前屋」を訪ねるためであった。金貸し―しかも高利貸しを訪ねるのは初めてのことで、お彩はなかなか暖簾をくぐる気にはなれなかった。
店がひと段落すると、お彩は喜六郎に二階で少し寝むようにと勧めた。喜六郎は日頃から健康だけには自信があっただけに、昨日のことは相当こたえているようだ。素直にお彩の勧めに従って、二階の自室へと上がった
お彩は喜六郎が自室に籠もったのを見届け、「花がすみ」を出た。
両替町にあるという「肥前屋」を訪ねるためであった。金貸し―しかも高利貸しを訪ねるのは初めてのことで、お彩はなかなか暖簾をくぐる気にはなれなかった。

