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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第40章 第十五話 【静かなる月】 其の弐

「ああ、お彩ちゃんか。心配かけて済まねえな」
それから竹庵がひととおり診察する。
その後、お彩は階下で竹庵に控えめに訊ねた。
「先生、旦那さんの具合は、どうなんでしょうか」
竹庵の仙人のような太くて白い眉がひそめられた。
「フム、正直申して、あまり良うはないな。心ノ臓が大分弱っておる。恐らく何か心に大きな衝撃を受けることがあったのではないか。普段から心悸持ちではない者でも時に大きな打撃を受けたりした時、心臓発作に似た症状を起こすことがあるのだ。恐らく、喜六郎さんの今回の発作は、そのような類(たぐい)のものだろうて。これ以上悪化させたり、再発を招かぬためには、必要以上の負担を―身体にというよりは、むしろ、心に与えぬことじゃ」
それから竹庵がひととおり診察する。
その後、お彩は階下で竹庵に控えめに訊ねた。
「先生、旦那さんの具合は、どうなんでしょうか」
竹庵の仙人のような太くて白い眉がひそめられた。
「フム、正直申して、あまり良うはないな。心ノ臓が大分弱っておる。恐らく何か心に大きな衝撃を受けることがあったのではないか。普段から心悸持ちではない者でも時に大きな打撃を受けたりした時、心臓発作に似た症状を起こすことがあるのだ。恐らく、喜六郎さんの今回の発作は、そのような類(たぐい)のものだろうて。これ以上悪化させたり、再発を招かぬためには、必要以上の負担を―身体にというよりは、むしろ、心に与えぬことじゃ」

