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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第33章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の弐

それは、けして触れてはならないものから逃れるような素早い動きだった。お彩は死んでも市兵衛の方を見ないとでもいう様子で、顔を背けている。いや、内実は、市兵衛の顔を見るのが無性に怖かったのだ。この怜悧で鋭い男に瞳を覗きこまれれば、心の奥底まで何もかもを見透かされてしまいそうで。
頑なに顔をうつむけたままのお彩を見て、市兵衛は薄く笑った。
「まあ、良い。お前が見かけによらず強情だというのは、いやというほど思い知らされているからな。いずれ真実が判るときがくる」
市兵衛は笑いを含んだ声で何故か妙にきっぱりと断じた。
頑なに顔をうつむけたままのお彩を見て、市兵衛は薄く笑った。
「まあ、良い。お前が見かけによらず強情だというのは、いやというほど思い知らされているからな。いずれ真実が判るときがくる」
市兵衛は笑いを含んだ声で何故か妙にきっぱりと断じた。

