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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第33章 第十三話 【花残り月の再会~霞桜~】 其の弐

お彩は悟った。多分、市兵衛の言うとおりなのだろう。河津屋は、お美杷が伊勢次の子ではなく、市兵衛の子であることを突き止めたのだ。お美杷が市兵衛の実の子であることを知り、さぞほくそ笑んだことだろう。その上で、お美杷をひそかに誘拐し、強請りのネタに使おうと決めたに相違ない。
―お美杷、ごめんね。おっかちゃんを許して。
幼い娘をこんな恐ろしい事件に巻き込んでしまったことに、お彩はたまらないやるせなさを憶えた。
母子二人でひっそりと穏やかに暮らしたい、どんなに願っても、所詮、それは叶わぬ夢なのだろうか。自分とお美杷は、どこまで逃げても、市兵衛の翳から出ることはできないのだろうか。
―お美杷、ごめんね。おっかちゃんを許して。
幼い娘をこんな恐ろしい事件に巻き込んでしまったことに、お彩はたまらないやるせなさを憶えた。
母子二人でひっそりと穏やかに暮らしたい、どんなに願っても、所詮、それは叶わぬ夢なのだろうか。自分とお美杷は、どこまで逃げても、市兵衛の翳から出ることはできないのだろうか。

