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ただ、あなたに逢いたくて~心花【こころばな】~
第31章 第十二話 【花見月の別れ】 其の弐

そういう事情もあり、見ず知らずのお彩に、瀬戸物屋の内儀が娘の婚礼衣裳やら支度やらの仕立てを頼んでくれたのであった。
おきわは両親に可愛がられて育った。已之助という六つ違いの弟が家業を継ぎ、おきわは、出入りの庭師の倅と恋仲になり一緒になった。嫁ぎ先は羽振りの良い造園業を営む家で、良人は棟梁の跡継ぎ息子であった。しかし、良人は、おきわが懐妊中に亡くなり、その死後に生まれた赤子も生後三か月で夭折、おきわは実家に戻った。
悲嘆に暮れているところに伊勢次の父徳松との再縁話が舞い込んできたのである。当時、徳松もまた女房を亡くし、生まれてまもない赤子を抱えて、途方に暮れていた。その赤子こそが伊勢次であり、従って、伊勢次とおきわの間には正確には血の繋がりはない。
おきわは両親に可愛がられて育った。已之助という六つ違いの弟が家業を継ぎ、おきわは、出入りの庭師の倅と恋仲になり一緒になった。嫁ぎ先は羽振りの良い造園業を営む家で、良人は棟梁の跡継ぎ息子であった。しかし、良人は、おきわが懐妊中に亡くなり、その死後に生まれた赤子も生後三か月で夭折、おきわは実家に戻った。
悲嘆に暮れているところに伊勢次の父徳松との再縁話が舞い込んできたのである。当時、徳松もまた女房を亡くし、生まれてまもない赤子を抱えて、途方に暮れていた。その赤子こそが伊勢次であり、従って、伊勢次とおきわの間には正確には血の繋がりはない。

