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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第29章 契約の熱

廊下には、先ほどまでミレイを守っていたはずの三人の護衛達が気を失ってのびている。
ミレイを抱いたカルロは彼等をまたぎ、そのまま会場から離れていった。
「警備が厳重で大がかりなほど……アナを空けられた時の対処が、雑になる」
業務用の通路の突き当たり──
そこにはエレベーターが待ち構えていた。
乗り込んだカルロは地下のボタンを押す。
「地下へ…?」
「あんたの父親が俺達に命令したんだろう。駐車場へ、運べと」
もっとも、乗るのはカルロが別に用意した車だ。
行き先もジンの家ではない。
50の階層を一気に降りながら、どんどん減っていく階の数値を無言で眺めていた。
チン、という音が二人に到着を告げ
カルロはエレベーターを降りる。
“ このまま外へ?…でも、あれ…?そもそも ”
その間カルロの腕に抱かれる内にやっと実感がでてきたミレイ。
少し冷静になって、不可解な点に気付いた。
「カルロさんがここにいるなら、会場に侵入した黒スーツの人はいったい…!?」
監視班の見間違い?
いや、外の見張りの警官も倒されたって……!
「ハルトだ」
「…っ…ハルト君が?何のために?」
「…囮( オトリ )」
「それって平気なんですか!? 今ごろ捕まってるんじゃあ…っ」
「そこまで無能な奴でもない」
心配するミレイを意に介さず、冷静そのもののカルロは駐車場を目指して通路を進んだ。

