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歪んだ三重奏 ~ドS兄弟に翻弄されル~
第24章 血の因果( インガ)

「──…ミレイさん」
ちぐはぐな二人の会話が展開される中、部屋に立つヒデアキの声がそれを割った。
「君が私を恐れるのは当然だが、…心配しなくとも私は君を、母親と混同するほど愚かではない」
「……!!」
「…チッ…」
怯える彼女を安心させるための言葉だろうが、ミレイの不安はいっこうに解消されなかった。
これを聞いたカルロは、瞬時に状況を理解して苦々しげに舌を打つ。
そして再び、父親に向かって問いただした。
「枢木アンナの事を、この女の前で話したのか」
「……そうだが」
「…ハッ、よく話せたな」
「何か問題があるとでも?」
「ぬけぬけと……」
カルロは口許に皮肉を込めて笑みを貼り付けた。
──同じくらいの憎しみも込めて。
けれどヒデアキはそれを全く意に介さず、冷静に…さらに堂々とした声で、ミレイに告げた。
「私はアンナを愛していた」
「──…!」
「…君はアンナにそっくりだが、愛する女を他者にすり替える事は有り得ない。
何故なら…彼女は確実に死んだのだからな」
背中越しに告げられてミレイは目を丸くする。
その予感はしていた…。
自分を見つめる彼の目や、「アンナ」と呼んだあの声の甘さを考えれば、予想がつくと言うものだ。

