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琥珀色に染まるとき
第12章 幸福な憂心のまま

「綺麗だよ、涼子」

 少し低い位置から艶やかな笑みを向けながら、彼はその手を腰や尻の曲線に優しく滑らせてくる。肌を這う熱に、溶かされていく。

「絹肌。いや、もち肌かな」
「……やっぱりない?」
「ん?」
「色気」
「あのな、そんなこと一言も言ってないだろう」
「…………」
「ありすぎて心配なくらいだよ」

 困ったように笑う彼の腕に腰を引き寄せられ、再びその脚の上に尻をつける。

「肌触りが最高だ。気持ちいい」

 耳元で囁かれるその低い声は、吐息のように熱く、色香を漂わせて。腕や背中をするすると撫でるその手は、媚薬のように妖しく、色欲に満ちて。背中をぞわりと快感が走り、腰の奥がどくどくと疼きを訴える。

「やっ……んん……」

 くすぐったいほどの柔らかな刺激に、思わず首をすくめて喘ぎにも似た声を漏らしてしまう。先の行為を想像するのが恐ろしいくらい、こんなにも、その声、まなざし、手指に飜弄されている。
 美しく引き締まった筋肉を覆う、そのなめらかな素肌に包まれたい。今すぐに、早く――。

 長い髪を耳にかけられ、耳たぶを甘噛みされると肩が跳ねた。鼓膜を震わす熱い吐息のあと、粘膜に犯される音が脳内に響く。

「はぁっ……や、ん……」
「涼子」

 甘やかで優しい声とともに、熱い手のひらが透け感のあるブラジャー越しに両方の胸を揉みしだく。下からすくってゆっくりと円を描くように。二つのふくらみは、彼の大きな手の中で自在に形を変える。

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