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eyes to me~ 私を見て
第61章 プリキー大作戦

女の人は帽子のつばを指で持ち水面の照り返しを避ける様にした。
「とても気持ちの良いお天気ね」
「ええ、本当に」
桃子はスマホに連絡が来るのを気にしながら返事をする。
「お嬢さんはお一人で散歩なの?」
「あ……久し振りに彼と会うんです……」
『彼』という言葉をこんな風に使うのが初めてだ。
口にすると、改めて嬉しさと恥ずかしさが込み上げてくる。
女の人は柔らかい笑みを浮かべて桃子を見た。
「その彼の事、とても好きなのね」
「すっ……」
頬からボン、と音が出た様な錯覚と同時に顔中が熱くなり、しどろもどろになりながら俯いた。
「そ……っ……ですね……はい……好……」
「可愛いわね、あなた」
女の人は口に両手を当てて肩を震わせて笑い出した。
桃子もつられてはにかみながら笑う。
すると、後ろから誰かに呼び止められた。

