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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

『暑くない?……脱いだら?』
美名が手を伸ばして近付いて来た時には逃れたが、抱き締めて来た時には動く事が出来なかった。
甘い髪の薫りと柔らかい身体の感触に、クラクラしそうになり自分を保つのが精一杯だった。
その場で抱き締め返していたら、どうなってしまったか分からない。
「……キツいな……」
綾波は鏡の前の椅子に腰かけ、身体を反らし天井を仰いだ。
約二週間、はまじろうとしてプリキーとキャンペーンで駆けずり回り美名の側にいながら声もかけず、触れる事もしなかった。
距離を置いて落ち着こう、と考えたが、いざ離れるとなると気掛かりで仕方が無かった。
俺が側に居ない間泣いていないか、泣いている美名に他の男がつけこんで迫ったりしないのか……

