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eyes to me~ 私を見て
第58章 歌姫を見守る獣

美名は、涙が溢れそうな瞼を指で押さえて無理矢理笑う。
「……きっと、何か理由があるんです……私には分からない何か……
剛さんを、信じて……また連絡をくれるのを待ちます……
それまで、やるべき事を頑張ります」
志村まで目を潤ませ、美名をギュッと抱き締めた。
「んも――!美名ちゃんったら健気――!頑張り過ぎなくて良いのよ?苦しいなら苦しいって言いなさいね?」
「は、はい……本当は……寂しい……です……凄く」
美名が涙声を出す。
志村は、側にいるはまじろうを蹴った。
はまじろうは悲鳴を上げる事は無いが、コロコロと床を転がる。
「美名ちゃんがこんなに待ってるのに……酷い男よねっ!……あっ、もう私も行かなくちゃ……
美名ちゃん、またゆっくり話しましょうね?今夜は早く休むのよ?」
「はい……ありがとうございます」
「あっ!そうだ!はまじろう――!」
志村は倒れているはまじろうの首根っこを掴まえて起こすと、何かヒソヒソと話している。

