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第57章 さよなら、私の②

　手紙をもう一度読み返してみる。

『美名、元気か？
　て……俺が言う事じゃないよな。
　思い出したく無いかも知れないけれど、この間は、悪いことをした。
　許してもらえるとは思っていない。
　俺は、あの夜の事を一生忘れない。
　俺の罪を忘れない。
　けれど、美名はあんな事は忘れてくれ。
　無理かも知れないけれどな。
　小切手は、謝罪の代わりだ。
　金で解決するなんて厭らしいかも知れないが、他に俺が出来ることはないからな。
　少しの間だけでも美名とバンドが出来て楽しかったよ。
　本当なら、今頃一緒に全国ツアーとかやってたかも知れないな……
　ミュージックスタイル、見たよ。美名、かっこよかったな。
　これからどんな事があっても簡単に諦めたりするなよ？
　美名にはその声がある。
　美名は何でも出来るよ。
　俺には分かる。
　俺は、silent wolfは、アメリカに渡って勝負する。
　日本に戻るのは……いつか決めてはいない。
　美名が好きだと言ってくれた俺のギターと声で世界に挑んでみるよ。
　幸せになれよ。
　何処に居ても、それだけを祈っているから。

　翔大』