この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
eyes to me~ 私を見て
第54章 擦れ違う恋人たち

綾波は低く笑い、壁に身体を凭れた。
「……正直俺は……誰がやったとか……どうでも良い……」
「――!バカを言いなさい!どうでも良い訳がないでしょっ!こんな――」
色を失う志村に、綾波は力無い笑顔を向けた。
「俺が……過去犯した禁忌……それはもう動かしようがない……」
「綾波くんっ……」
志村は涙を目に浮かべ、智也は黙って綾波を見つめる。
「拐うように美名を愛して……美名も俺に愛を返してくれて……
俺は……美名に自分の過去も打ち明けようと……自分の全部をさらけ出す事が……誠実な愛情だと思ったんだ……
だが……それは美名にしてみれば迷惑な事でしかないのかもな……」
綾波は天井を仰ぎ、独り言の様に呟いた。

