この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
退魔風紀 ヨミ ~恥獄の学園~
第1章 ヘイワード国際学園の怪

語気を強めた詠の剣幕に、ギニーもさすがに注意を向ける。
「うを?」
「説明して。いったいどういうことなのかしら?」
「こ、この娘はヘレン。同級生だお」
「そう。それで?」
「この娘は、お、囮なんだな……」
「囮?」
「そうだお。この学園に潜む魔、インキュバスをおびき寄せるための囮なんだお! エシシシシシシシシッ!」
「イ……インキュバスですって?」
「だお! 日本の退魔師でも知ってるのかお?」
「知ってはいるけれど……」
淫魔インキュバス。女性を誘惑する西洋の魔物だ。だが、日本に出現した記録はない。詠ら退魔風紀が普段狩るのは専ら日本土着の魍魎たちである。
「どうしてインキュバスがいるとわかったの? その……ヘレンと関係が?」
「いあ、ヘレンは無関係だお」
「それならどうして!」
大事そうにギニーが懐から液体の入った瓶を取り出した。
「エシシッ! アンダーグラウンドサイトで買ったんだお。この魔を呼ぶ媚薬で! お、女の子を喘がせればインキュバスがやって来るってお! エシシッ! 使うならヘレンちゃんって決めてました!」
「な……」
詠は魔物を相手にするのとはまた違った寒気を感じた。この男子は普通ではない。主張にまったく根拠がない。客観性を欠いた話し方を、平然と続けられるその精神が薄気味悪い。やはり悪戯だったのだろうか?
だが、この地に魔が潜むのは確かだ。詠自身、先ほどから巨大な妖気を感じ取っているではないか。
「うを?」
「説明して。いったいどういうことなのかしら?」
「こ、この娘はヘレン。同級生だお」
「そう。それで?」
「この娘は、お、囮なんだな……」
「囮?」
「そうだお。この学園に潜む魔、インキュバスをおびき寄せるための囮なんだお! エシシシシシシシシッ!」
「イ……インキュバスですって?」
「だお! 日本の退魔師でも知ってるのかお?」
「知ってはいるけれど……」
淫魔インキュバス。女性を誘惑する西洋の魔物だ。だが、日本に出現した記録はない。詠ら退魔風紀が普段狩るのは専ら日本土着の魍魎たちである。
「どうしてインキュバスがいるとわかったの? その……ヘレンと関係が?」
「いあ、ヘレンは無関係だお」
「それならどうして!」
大事そうにギニーが懐から液体の入った瓶を取り出した。
「エシシッ! アンダーグラウンドサイトで買ったんだお。この魔を呼ぶ媚薬で! お、女の子を喘がせればインキュバスがやって来るってお! エシシッ! 使うならヘレンちゃんって決めてました!」
「な……」
詠は魔物を相手にするのとはまた違った寒気を感じた。この男子は普通ではない。主張にまったく根拠がない。客観性を欠いた話し方を、平然と続けられるその精神が薄気味悪い。やはり悪戯だったのだろうか?
だが、この地に魔が潜むのは確かだ。詠自身、先ほどから巨大な妖気を感じ取っているではないか。

