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それでも大好きなんだーっ!
第5章 大和撫子、豹変⁉︎
朝早いからか、空いている教室は多い。

閉め切って薄暗い部屋は、うさこはもちろん、翼も苦手だ。

だから、日当たりのいい空き部屋に3人で入る。


(なんなの、この子!自分の彼氏の浮気を許すどろこか、その現場を見にくるとか……あり得ない!)

翼の隣を歩きながら、夏帆はチラチラとうさこを睨む。

「……っ……」

その度に、うさこは顔を真っ赤に染めては俯く。


妄想が暴走しては顔を赤らめるうさこだが、

(悔しいの?翼を盗られてしまうんじゃないかって……泣きそうなの?)

夏帆には不可解なうさこのその態度。

夏帆の目にはそんな風に映ったようだ。


「夏帆?」

窓際の机に座った翼が、首を傾げて夏帆の名を呼んだ。

トクンッ…自分の名前を呼ばれた悦びに、夏帆の身体が震える。

自分に向けて伸ばされた翼の腕に、どんどん熱を増していく夏帆の身体が預けられる。


「翼…っ…好き……大好き……っ」

今は……セフレだっていい。

きっとすぐ、翼はこの子に飽きるから……

自身の勝利を確信した、夏帆の強気な瞳がうさこを捉える。


(私は、今からあなたの彼氏に抱かれるのよ?)


彼女の目の前で…

彼女が絶望するくらい激しく…

翼を、奪ってやる─────… 


「翼……っ」

翼の頬を両手で挟み、夏帆はその唇に自身の唇を寄せていく。


「…………」

もう少し…

あとほんの数センチで触れ合いそうな唇。


「……っ……」

小さな声でごめんと呟き、

翼の大きな掌が夏帆の後頭部を掴む。 

そのまま、

夏帆の唇は、抱き寄せられた翼の胸元へと押し付けられてしまった。
 


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