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ジェミニの檻
第14章 真昼の雨音

ブブッと胸ポケットに入れていたスマホが震える。
六花を抱き留めていた腕をそっと外して、スマホをスライドさせると、メールが来ていた。
由岐からだ。
''遠征行ってくる、朝帰りした罰に夕飯宜しく''
時計は6時少し前。
準備室はカーテンが閉められているため薄暗いが、それでも朝が訪れている事は判った。
「六花」
「ん…」
微睡みの中でゆっくり目を開ける六花。
「帰るぞ」
「…あさ…?」
暗幕シーツを床に引き摺り落としながら起き上がり、帰り際暗幕を準備室の隅に折り畳んで隠しておいた。
眩い朝陽の中、始発を待つ六花の手は志貴に当然の様に握られていて、電車に乗り込んだ後も離す事はなかった。
「…志貴、あの…」
手を引かれるまま志貴の家路を辿る。
「由岐ならとっくに遠征行ったから」
そんな事を聞きたい訳じゃなかった。
当たり前の様に歩く志貴が、何を思って家に向かっているのかが六花には分からなかった。
静まり返った家に、ドアが閉まる音が響く。
「朝メシ食う?」
昨日の夜から何も食べていないことに、お腹が反応した。
六花を抱き留めていた腕をそっと外して、スマホをスライドさせると、メールが来ていた。
由岐からだ。
''遠征行ってくる、朝帰りした罰に夕飯宜しく''
時計は6時少し前。
準備室はカーテンが閉められているため薄暗いが、それでも朝が訪れている事は判った。
「六花」
「ん…」
微睡みの中でゆっくり目を開ける六花。
「帰るぞ」
「…あさ…?」
暗幕シーツを床に引き摺り落としながら起き上がり、帰り際暗幕を準備室の隅に折り畳んで隠しておいた。
眩い朝陽の中、始発を待つ六花の手は志貴に当然の様に握られていて、電車に乗り込んだ後も離す事はなかった。
「…志貴、あの…」
手を引かれるまま志貴の家路を辿る。
「由岐ならとっくに遠征行ったから」
そんな事を聞きたい訳じゃなかった。
当たり前の様に歩く志貴が、何を思って家に向かっているのかが六花には分からなかった。
静まり返った家に、ドアが閉まる音が響く。
「朝メシ食う?」
昨日の夜から何も食べていないことに、お腹が反応した。

