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ジェミニの檻
第14章 真昼の雨音

触れるだけのキス。
「嫉妬したよな?」
見つめられて、返す言葉がない事がそれを肯定してしまう。
「あ、たしは…由岐くんの…彼女だも…」
言葉を遮る様に唇を食まれる。
「お前が誰のものか、誰を好きかなんてどうでもいい、俺がお前を好きなんだから」
ぎゅっと鷲掴みにされた心臓が早鐘を打つ。
何時もの志貴じゃなかった。
頬を包む手は温かくて、優しくそっと、壊れ物を扱う様で。
親指が口唇をなぞると、ゆっくりと唇が重なる。
遠くて聴こえていた喧騒が消えていく。
眼が、好きだと云っている。
切なくて熱い瞳が真っ直ぐ六花を捕らえて離さない。
暗幕を広げた実験台の上に二人して倒れ込む。
髪を一筋手に取ると、それにも唇を寄せる志貴。
「…志貴…」
「抱きしめさせて」
腕を伸ばす志貴。
「言う事聞いて」
逆らえないのはその瞳の所為。
いつだって強引で、六花の有無なんて御構い無しなのに。
「六花の匂い…落ち着く…」
それだけ呟くと志貴の呼吸がすぅっと静けさに溶け込んだ。
「志貴…あ、たしも…好き…かもしれないよ…」
規則正しく鼓動を刻む音が耳元で鳴り続けると、それはメトロノームの様に温もりを巻いて六花を眠りへと堕としていった。
「嫉妬したよな?」
見つめられて、返す言葉がない事がそれを肯定してしまう。
「あ、たしは…由岐くんの…彼女だも…」
言葉を遮る様に唇を食まれる。
「お前が誰のものか、誰を好きかなんてどうでもいい、俺がお前を好きなんだから」
ぎゅっと鷲掴みにされた心臓が早鐘を打つ。
何時もの志貴じゃなかった。
頬を包む手は温かくて、優しくそっと、壊れ物を扱う様で。
親指が口唇をなぞると、ゆっくりと唇が重なる。
遠くて聴こえていた喧騒が消えていく。
眼が、好きだと云っている。
切なくて熱い瞳が真っ直ぐ六花を捕らえて離さない。
暗幕を広げた実験台の上に二人して倒れ込む。
髪を一筋手に取ると、それにも唇を寄せる志貴。
「…志貴…」
「抱きしめさせて」
腕を伸ばす志貴。
「言う事聞いて」
逆らえないのはその瞳の所為。
いつだって強引で、六花の有無なんて御構い無しなのに。
「六花の匂い…落ち着く…」
それだけ呟くと志貴の呼吸がすぅっと静けさに溶け込んだ。
「志貴…あ、たしも…好き…かもしれないよ…」
規則正しく鼓動を刻む音が耳元で鳴り続けると、それはメトロノームの様に温もりを巻いて六花を眠りへと堕としていった。

