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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光
触れたくても触れられない。
会いたくても会えない。
話したいことはたくさんあったのに。
どうして達巳はそこで寝ているの?
ねぇ、あたしに話があったんでしょう?
だから職場に呼んだんでしょう?
どうして、達巳なの?
何で事故は起きたの?
誰のせいにも出来ない。やりきれないこの気持ちをどこにぶつければいいの。
神様が居るのなら達巳を何で救えなかったの?
嫌だ、嫌だ。
会いたい。
話したい。
あたしの頭の中はそればかり。
達巳と家族だったら、すぐにでも傍に居れたのに。
一時間後、達巳の母親は姿を現した。
寝間着姿で、ひどく乱れていて前に見た気品高い姿はどこにもない。
すぐに病院から手続きをするように言われ、一度達巳を確認した後。
涙を流しながら看護師と共に別室に連れて行かれた。
達巳を捨てた母親。
でも、やっぱり息子が死ぬとああやって泣くんだ、なんて冷静に見ていた。
あたしがどんなに愛していても、会えないのに。
母親ってだけで会えるんだから世の中不平等だ。
この場に居ると自分が惨めになってくる。
「帰ります…」
高峰さんに告げると送るよ、と言われて素直に甘えた。

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