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ラストチルドレン
第5章 絶望の果てに・失った光
「ご家族の方は……」
先生の言葉に、高峰さんが連絡が取れないと答えていた。
達巳、痛かったよね。
どうして一人で逝ってしまったんだろう。
涙が不思議と流れない。
冷静にただそこに居るだけ。
「楓ちゃん…」
達巳に会わせてほしい。
そこに居るんだよね?
そこで一人眠っているんだよね?
あたしも傍に行きたい。
「楓ちゃん!!」
いっそ、このままあたしも連れてって…
達巳が居ない世界なんて何の意味もないの。
お願い、達巳に…
「楓ちゃん!!!!」
視界に入る高峰さんの顔が苦痛に歪む。
「しっかりして。今、変なこと考えてただろ?」
「あたしはただ…達巳に会いたいだけ」
「辛いけど、もう達巳は…今は家族しか会えないみたいなんだ」
「達巳の家族…おばさんは?息子がこんな状態なのになんで居ないの!」
どうしてあたしは会えないのに、その特権を持っているあの人は何でこの場に居ないの?
悲しみと怒りが交互に押し寄せる。
「今、社長が家に向かってる。達巳が緊急連絡先、母親の携帯しか書いてなかったから繋がらないんだ」
「もういや…達巳を一人にしないであげてよ…」
達巳を抱き締めてあげたいのに、たった一枚の扉が邪魔をした。

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