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アンバランスなsweet
第23章 対峙する心

「紅茶……冷めないうちに飲みなよ」
「……はい」
片桐さんが入れてくれた紅茶を一口飲んだ。
少し冷めてしまったその紅茶はアールグレイで。
いつもなら、アールグレイの紅茶の香りは私の気持ちを癒してくれる。
でも…その優雅な花の香りは、心の表面だけを上滑りしていくだけで、紅茶の味なんか良く解らなかった。
生ぬるい液体がゆっくりと喉を落ちていくその感触と共に広がるのは…。
―――哀しくて、滑稽で、惨めな気分。
部屋の中に沈黙が降り、空気の質量が増した気がする。
私達には言葉に出来ない想いがあって、それは互いの肺を埋め尽くし、私達はそれに溺れそうになってもがいている。

