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アンバランスなsweet
第23章 対峙する心

「………痛ッ」
「ごっ、ごめんなさい!」
おもわず私の口からついた謝罪の言葉。
私に平手打ちされた、片桐さんの右頬はみるみる赤くなっていく。
「……また、俺を置いて、いくの?」
打たれた右頬に手を当てたまま、片桐さん驚いたように大きく目を見開くと、その後、ぽつりとその言葉を呟いた。
傷付いたような片桐さんの瞳が揺れていた。
私を見つめるその表情は哀しげで、瞳は寂しげな光を湛えている。
―――また…置いていくの?
寒い日の吐息のような、片桐さんのその辛そうな呟き。
私は片桐さんのその言葉の意味が分からないまま――。
私と片桐さんの二つの交わらないその気持ちは、空中に漂い霧散する。

