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アンバランスなsweet
第21章 覚悟

『はい』
それを知ることは、俺にとってとても重要なことだった。
―――もしかして……身代わり?
ふと、胸を掠めたその疑惑。
……もし、紫乃が片桐さんのその彼女の身代わりだったら、俺は…。
―――片桐さんから紫乃を奪う
“奪う”
頭に浮かんだその言葉。
それは、今の俺の剥き出しな気持ち。
ありのままの気持ちだった。
その気持ちに後押しされるようにして俺は…熊さんに頭を下げた。
『…なぁ、まこと、お前がそれを知ってどうすんだよ?』
『熊さん、頼みます。教えて下さい』
串揚げ屋のカウンター。
熊さんに向かって、頭を垂れたその視線の先には、握り締めた自分の拳が見える。
熊さんからの答えを待つその時間は、
教えてもらえないかもしれない不安との戦いだった。
握る両手に力が入り、指と指の間にじんわりと嫌な汗が滲む。
―――お願いします。教えて下さい。
そんな気持ちを込め、どれぐらいの時間そうしていたんだろう。
『いいから、まこと頭上げろ』

