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第2章 　『　シフォンケーキ　』

わたしは、どんな名前にしようかと
とても悩んだ。


ペンとメモを持ってきて、
大好きな女優さんの名前や
漫画の主人公の名前。
友達の名前でかわいいと感じたものや
いいなぁ～と思ったもの。


片っ端に書いていった。


だけど、どれもこれもしっくりこなかった。


やっぱり、自分の名前から
連想していくほうがいいのかな……。と、思った。


あ　か　ね。


メモにひらがなで書いた。


茜色…から連想して


紅……べに？くれない？


「紅」の文字をメモに書く。
うーん、ちょっと渋すぎるかな。


次に、
「朱」、「緋」
を書いてみた。


名前が思いつかない……。


あかねをローマ字で書いてみた。


Ａ・Ｋ・Ａ・Ｎ・Ｅ。


並び替えてみようかな……。


Ａ・ＫＥ・ＮＡ。
あ・け・な？


Ａ・ＫＥ・Ｎ・Ａ。
あ・け・ん・あ？


Ａ・ＫＡ・Ｎ・Ｅ。
あ・か・ん・え？


ダメ……行き詰った……。


ふと、
逆に書いてみた。


Ｅ・ＮＡ・ＫＡ。
え・な・か？


えな……ちょっとかわいいかも。
と、思った。


さっそく、
ＩＤ登録に
「Ｅｎａ」
と入力をし、登録ボタンを押した。


そのＩＤは、使用されております。


と赤文字で表示された。


じゃあ、
「Ｅｎａ－Ｋ」
と入力した。


イニシャルっぽくていい感じだと思った。


そのＩＤは、使用されております。


ああ、もう思いつかない……。


私は、


Ｓ・Ｅ・Ｏ・Ａ・Ｋ・Ａ・Ｎ・Ｅ。


と、メモに書きなぐった。


パズルのように、
あれこれ入れ替えてみた。


「ＳＡＮＡＥ」
かわいいけれど、もうありそうだと思った。


「ＡＳＯＫＯ」


　「あはは。」


思わず、笑ってしまった。
だいたい「Ｏ」を二回使っているし。


「ＡＫＥＮＯ」


なんだか、明るいイメージでいいかも…。と、思った。


パソコンで「あけの　名前」と検索した。


漢字で書くと
「朱乃」「緋乃」
という字もあった。


これだ……と思った。


「Ａｋｅｎｏ」
と入力し、登録ボタンを押した。


このＩＤでよろしいですか。


の表示が出た。


　「やったっ。」


小さく声を上げた。


パソコンの世界の私の名前は


「Ａｋｅｎｏ」


に決まった。