この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
◇なななの短編◇
第11章 さっぽろ雪まつり!(B,近甘,ᙠ)
宿の最寄り駅を出ると、もうあまり人がいなかった。
本当に旅が終わってしまう。
それが何だか切ない。
はわぁ…と欠伸をした店長の口から白い煙が立ち上る。
……そういえば…
「店長…今日タバコ吸ってませんね」
「ん? あ〜…」
珍しい。
いつもスパスパ吸っているのに。
「吸いたくないんですか?」
「いや、めちゃめちゃ吸いてぇ」
………なら吸えばいいのに。
「会場にも喫煙所、あったのに」
「……まぁ…」
言葉を濁す店長が気になった。
そして、しばらく沈黙が続くと、私の方を見て頭を撫でた。
「……お前に悪いかなと思って」
「え……?」
「…………折角の旅行だし。待たせるんじゃ時間もったいないだろ」
「………へぇ…」
そういう事、思うんだ。
嬉しい……かも。
そんな事を思いながら、私はまた手を彼の方へ伸ばす。
そして、再び彼の袖を掴んだ。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


