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Only you……番外編
第16章 恋の種をまこう

私は会社を首になることも覚悟していたし、あれだけで麻都さんの癖が治るとも思っていなかった。しかし意外にも、私は首にはならず、麻都さんはぴたりと遊ぶのを止めたのだった。どういう心境の変化なのかは分からない。ただ単に飽きただけかもしれない。それでもよかった。それで少しでも麻都さんの寂しげな――悲しげな笑顔が少なくなってくれれば。
私の小さな恋は、憧れのまま終わったのだ。
――4年後――
「りいいいぃぃぃぃぃんっっ!!!!」
廊下から、私の名前を絶叫するのが聞こえた。敢えて返事はせずにほおっておくとバンッと激しくドアが開けられた。そこには予想通り麻都さんがスーツも髪も滅茶苦茶にして立っていた。
「りんっ!」
その顔には満面の笑み――それは私が今までに見たどの笑顔よりも輝いていた。
「街で見つけたんだ!」
一度大きく深呼吸すると、ごくりと唾を飲み込み口を開いた。
「俺の運命の人だよ!」
暗い路地裏で出会ったその恋は、いつか芽を出し花へと育ち、そして実を結ぶだろう。私はそんな麻都さんよりも、絶対先に運命の人を見つけて落としてやると心に誓った。
――だって悔しいじゃない?
番外編 りん視点 END

