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Only you……番外編
第9章 見舞い

それから毎日、透真は病室へやって来るようになった。仕事の資料を持ってきて、私に説明したり、助言を求めたりもするようになった。私たちは今まで敵だったのが嘘のように親しくなった。

私の入院していた1ヶ月間で、それは自他共に認める“親友”という関係へと変貌していた。


「もう、退院しても大丈夫でしょう」

医師が私にそう告げた。

私の隣では、一緒に透真が話しを聞いていた。

「ただ、次に大きな発作が起きれば……命の保証はできません」

眉をひそめた。

――次が最後。


――最期になる。


「大丈夫だ。僕が簡単に貴正を死なせたりしない」

私の頭をぽんぽんと叩きながら、透真は自信ありげにそう言った。その漠然とした言葉に、頼ってもいいんだと感じる。

「次の発作だって、呼吸が止まったって、また僕がマウス・トゥー・マウスで助けてやるよ」

「……えぇぇぇぇ!!!」

赤面する。マウス・トゥー・マウスだなんて、キスも同然ではないか。

――ちょっと待て?

――……“また”って言ったよな?

「あのー、またって言いませんでした?」

透真はそれがどうした? といった顔をした。

「初めて僕の前で倒れた時、したよ?」

さらに赤面する。

「は、初めてだったのに……」

「何が?」

キスが、なんて言えるはずも無く、「何でもない!」と言って誤魔化した。まさか私と透真がキスまでした仲だったなんて……。
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